夏ならではの「涼」を求めて~ 川崎大師の風物詩「風鈴市」を訪問

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今年の夏も猛暑。口を開けば「暑い」という言葉が出る日が続きます。そんな中、夏ならではの涼を求めに、川崎大師の夏の風物詩「風鈴市」を訪れました。例年は7月下旬に5日のみ開催されていましたが、感染症対策のため、7月1日から8月7日まで1か月以上の開催。いつもはなかなか予定が合わず訪れる機会がなかったのですが、開催期間が長くなったため、訪れることができました。

◆厄除けで有名な川崎大師

初詣参拝客では全国でトップ3に入る川崎大師。正式名称は「金剛山金乗院平原寺(こんごうさんきんじょういんへいげんじ)」。弘法大師を開祖とする真言宗・智山派の大本山です。

平安時代に平間兼乗という武士が無実の罪により生国尾張を追われ、諸国を流浪し、川崎に住み着き、漁師の仕事に就きました。兼乗は弘法大師に深く崇信し、日々厄除け祈願をしていたところ、ある日夢枕に弘法大師が。翌朝お告げの通りに、弘法大師の木像を海より引き上げました。1128年諸国遊化の途中に訪れた高野山の尊賢上人が兼乗のもとを立ち寄り、弘法大師の木像に纏わる話を聞き、一寺を建立。兼乗の姓・平間にちなみ平原寺としました。

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公式キャラクター「ひらまくん」 作者はせんとくんと同じ薮内佐斗司氏

◆仲見世通りから風鈴の涼やかな音色

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仲見世通りに風鈴が飾られ、涼しげな音色が

境内に入る前の仲見世通りから涼やかな音色が響いています。全国各地から約900種類・3万個の風鈴が集められる「風鈴市」。感染症対策のため、境内での風鈴販売は行わず、周辺の協力店舗で販売・各地の風鈴も展示されています。お店の軒先には川崎大師の「厄除けだるま風鈴」が風にそよいでいます。この「厄除けだるま風鈴」は川崎大師でお祓いを行ったもの。赤だけではなく、オレンジ・緑・青・白・黄色などカラフルな色と、可愛らしいお姿で癒されます。厄除けのご利益と、目でも耳でも癒されるだるま風鈴、いただきたくなっちゃいますよね。でも、まずは参拝をしてから。

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川崎大師でお祓いをした「厄除けだるま風鈴」

◆大本堂にも風鈴

大本堂には御本尊厄除弘法大師を中心に、不動明王、愛染明王、両界曼荼羅、救世観音などの諸仏が奉安されています。お賽銭を入れ、御本尊のご宝号「南無大師遍照金剛(なむだいしへんじょうこんごう)」と唱えながら手を合わせます。

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毎日護摩修行が行われ、世界平和、国家安穏、信徒安全が祈願されています。私が訪れた際にも、お護摩が行われており、堂内は厳かな雰囲気に包まれていました。対照的に大本堂に飾られた風鈴がきれいな音を響かせていました。

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◆風鈴市のメイン会場

風鈴市のメイン会場は大本堂右側の建物で。全国から集まられた風鈴が都道府県ごとに並べられています。ご当地の焼き物や鉄器、ガラスの風鈴。ご当地キャラクターの風鈴など、それぞれの地方の特色が出ていて、音色も異なります。風が吹くと一斉に風鈴が鳴りだし、色々な音色が鳴り響きます。出身地や旅行で訪れた先の風鈴を探すのも楽しいですね。

◆大本堂と風鈴市だけではない!参詣スポット

大本堂と風鈴市を観るだけではもったいない!川崎大師の境内には見どころがたくさん。境内マップを見てまわるのがおすすめです。

川崎大師境内マップ

・経蔵

平成16年に大開帳奉修記念事業として完成しました。中国最後の木版第経蔵と言われている「乾隆版大経蔵」冊が収められています。経蔵内では大日如来を表徴する五鈷杵に金箔を奉納でき、仏様と御縁を結ぶことができます。

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天井画「双龍」は煌びやかで綺麗

・不動堂

関東三十六霊場の第7番札所となる不動堂。成田山新勝寺の御本尊不動明王のご分躰を祀っています。

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昭和39年に落慶した不動堂

・八角五重塔

境内でも目につく五重塔。塔内には両界曼荼羅、弘法大師像などが奉安されています。八角は最も円に近い建造物の形といわれ、「包容力」「完全性」が象徴されています。

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塔の八角は真言の様式で華麗にして拡張高い形

◆美人祈願の隠れ参拝スポットも忘れずに

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美人祈願「しょうづかの婆さん」の参拝もお忘れなく

境内マップにも掲載されておらず、隠れ参詣スポット「しょうづかの婆さん」です。西解脱門近くにある小さなお堂。お参りすると心身ともに美しくなり、美貌運がアップするとされています。しょうづかとは、亡者が渡るとされる「三途の川」の別名「葬頭河(そうづか)」がなまった言葉。しょうづかの婆さんは三途の川を渡る人の服をはぐ存在。それがなぜ美貌?と疑問に思ってしまいますが、江戸時代に建てられたこの像は歯の痛みを治すとして信仰を集め、それが歯→美人→美貌と転じて、美を願う人たちがお参りするようになったそうです。

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ピンクの布地が可愛らしい「べっぴん守」

◆薬師殿でオリジナルのしおり作り

大本坊や会館の裏手にあるため、見落としがちな薬師殿。2008年に開設された新しいお堂があります。御本尊の薬師如来のお隣には「なで薬師」がいらっしゃいます。なでることで身体健全や病気平癒が祈願できます。体の良くなりたい部分をなでましょう。腰痛と肩こりが治りますように~。

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インド風の建物が目を引く薬師殿

堂内では参拝の記念に「薬師殿しおり」をいただけます。栞の紐は5色(黄・紫・赤・白・緑)から選ぶことができますが、この5色は五智如来(ごちにょらい)の色とされて、仏様の5つの智慧を表しています。それぞれの意味の説明がありますので、自分の願いに叶う色を選ぶことができます。

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栞の紐と十二神像のスタンプでしおり作り

次に薬師如来を信仰する者を守護する武神「十二神像」のスタンプを押します。十二支と結び付けて進行されているため、干支ごとにスタンプが設置されています。自分の干支の十二神像のスタンプをポン!自分だけの栞を作ることができ、よい参拝の記念になりました。

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オリジナルしおりの完成!

他にも写経や彩色仏画(仏様の塗り絵)を体験できます。

 

◆お待ちかねの門前グルメ

川崎大師の門前グルメと言えば、久寿餅。天保時代から川崎に伝わり、その名は無病長寿を祈念して命名されました。関東のくず餅は小麦粉のデンプンで発酵させたもの。黒蜜ときな粉でいただく、もっちり触感の和菓子ですが、実は和菓子で唯一の発酵食品・健康食品なんだそうですよ。

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川崎大師名物「久寿餅」の老舗店

大山門前の「住吉」では「くずもちサンデー」がいただけます。マザー牧場のソフトクリームとコラボ。ワッフルコーンのカップの中に、住吉のくずもち、マザー牧場のソフトクリーム、あんこ。濃厚なソフトクリームに黒蜜がかかっていて、とてもよくあいます。くずもちはもっちり触感で美味しい~。暑くて疲れていたのが、一気に解消されました!

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濃厚なソフトクリームにくずもちの黒蜜ともちもち触感がたまらない

◆仲見世通りにはお土産物もたくさん

川崎大師といえば「だるま」。だるまのお店が軒を連ねています。今年の干支とらや、アマビエなど変わりだるまもあるので、お店をのぞくのも楽しいですよ。風鈴市の間はだるまの提灯が店先にさげられていました。風鈴と同じお顔で、とても可愛らしいです。

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だるま提灯が軒先にお目見え

名物「だるま」の形をしたお煎餅屋さんも。大きなだるま煎餅はインパクトがありますね。お土産に喜ばれそうです。

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縁起がよいと喜ばれそうなだるま煎餅

厄除けには「開運とんとこ飴」を。仲見世通りに響き渡る飴をテンポよく切る音。職人さんたちが店頭で飴を切る様子を実演しています。「飴を切る」が「厄を切る」に通じるため、厄除けとしてお土産に人気です。人気があるのは「開運とんとこ飴」と「せき止め飴」とのこと。私は「きなこ飴」をお土産に購入しましたが、きな粉の素朴な甘みが懐かしく、とても美味しかったです。

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リズミカルに飴を切る音も川崎大師名物

風鈴市が目当てでしたが、川崎大師境内や仲見世通りを満喫しました。風鈴市は8月7日(日)まで。終了まであと僅かですが、気になる方はこの週末にぜひ訪れ下さい。

スタッフYN

川崎大師公式ホームページ
川崎大師山門前 住吉ホームページ