言葉の響きがなぜかずっと心に留まってた久遠寺(くおんじ)。
いつか行ってみたいと思っていたのですが、先日ようやくその機会が訪れました。
久遠寺は比叡山、高野山と共に日本仏教三大霊山として知られる身延山にある日蓮宗の総本山。
佐渡への流刑を終えて鎌倉に戻った日蓮聖人が南部実長の招きにより身延山に入山した後、入滅の直前までの約9年間を過ごした場所でもあり、法華経の聖地として今も多くの方が訪れています。
日蓮宗総本山 身延山久遠寺の山門
その入口として佇むのが、壮大な造りの三門。
山門ではなく三門となっているのは、「空」「無相」「無願」の三解脱門を経て悟りに至るという仏教の教えにならっているからだそうです。ここから先が聖域となります。
三門には白・赤・黒の柴犬ファミリーが!人に馴れているのか、撫でさせてくれました。白柴がお母さん、赤柴が長男、黒柴が次男だそうです。
かわいくてついつい長居してしまいそうになりますが、ここで止まる訳にはいかず。。。
登り切れば涅槃に達すると言われる菩提梯
柴犬に後ろ髪を引かれつつ三門をくぐり石畳を進んでいくと、有名な石段が見えてきました。本堂へ続く287段の菩提梯(ぼだいてい)です。
登り切れば涅槃(悟りの境地)に達するという意味の梯は、南無妙法蓮華経の7文字になぞらえて7区画に分かれているとのこと。
この石段、一段がかなり高いのが画像から分かるでしょうか。。。悟りの道は平坦ではないということを示しているのかもしれません。
最初のうちは比較的軽かった足取りも2区画目には重くなり、先が思いやられましたが、この石段を上るために久遠寺に来たと言っても過言ではなかったので、段数を数えることだけにひたすら集中して上ります。。。(でも途中で間違えてしまったらしく、私のカウントは286段になってしまいました。)
多くの登録有形文化財が建ち並ぶ境内
石段を上ると、明治の大火で焼失し2009年に134年ぶりに再建された五重塔が迎えてくれました。その先には本堂や仏殿、御真骨堂、祖師堂などが厳かに建ち並んでいます。雨は止んだもののあいにくの曇り空でしたが、荘厳さを引き立てているかのようでした。




樹齢400年を超えるしだれ桜の木。全国しだれ桜10選のひとつだけあり、枝振りが見事。桜の季節に再訪したくなりました。
ロープウェイで身延山山頂の奥之院 思親閣へ
境内を参拝した後は、ロープウェイに乗り身延山山頂にある奥之院 思親閣へ。
思親閣(ししんかく)は親を思うお堂という意味で、日蓮聖人が両親や師の道善房を追想し建立したのだそう。
前日の雨のおかげで霧が立ち込め、声を出すのもはばかられるほどの幻想的な世界が広がっていました。



日蓮聖人にお手植えされたと伝えられる4本の杉
仁王門へ向かう道の両脇には、日蓮聖人がお手植えされたと伝えられている4本の杉の木があり、それぞれ御父妙日尊儀杉・御母妙蓮尊尼杉・御師範道善房杉・立正安国祈念杉と名前が付けられています。身延町指定文化財(天然記念物)にもなっており、樹齢700年を超える老杉の風格が感じられました。
総本山の名にふさわしい荘厳な雰囲気に包まれている身延山久遠寺。
神秘的な風景の中を歩くだけで心が落ち着いてきて、まるで浄化されていくような気持ちになりました。まさにパワースポットですね。
難所ともいえる菩提梯には男坂・女坂という迂回の山道がありますが、男坂もなかなかの坂道で、下りは足元が心もとなくなります。ぜひ履きなれた靴でお出かけください。
スタッフ TK